東証プライム上場企業1,552社、全国の自治体1,741団体、全国の4年制大学812校。合計4,105の組織について、公式サイトがAIにどう読まれる状態にあるかを、同じ基準で1つずつ調べてきました。3つの調査を並べたとき、個別に見ていたときには気づかなかったことが、いくつか浮かび上がってきます。
日本を代表する企業、すべての市区町村、すべての4年制大学。4,105を調べて、AIに向けて自らの情報を整えていたのは52組織でした。
3つの母集団を並べる
発見1:性質が違う組織でも、数字がほぼ揃う
3つの調査で最も驚いたのは、この数字でした。robots.txt を持っている組織のうち、AIクローラーについて一言も書いていない割合です。
上場企業と大学と役所です。目的も、予算規模も、意思決定の仕組みも、まったく違います。それでも、この数字はほぼ同じところに収まりました。
数字が母集団を問わず一定だということは、この未対応が個別の業界事情によるものではない、ということを意味します。robots.txt という仕組み自体は、多くの組織が20年以上前から持っています。ただ、その中身が「検索エンジン向け」のまま止まっている。AIという新しい読み手が現れたのに、書かれているルールが更新されていない——それだけの話です。裏を返せば、業界特有の障壁があるわけではないので、着手すればどの組織でも同じように進められます。
発見2:指標を変えると、順位が入れ替わる
3母集団を一列に並べると、多くの指標で「企業 > 大学 > 自治体」の順になります。しかし、すべてがそうではありませんでした。
歴史の長いac.jpドメインを持つ大学が、ここでは上場企業を上回る
最も基本的な安全対策では、大学が企業の20倍の未対応率
大学は、クローラーへの指示という「ウェブ運用の作法」では企業を上回りながら、通信の暗号化という最も基本的な安全対策では、企業の20倍も未対応が多いという結果でした。学部や研究室ごとにサイトが分散し、更新が止まったまま残っている——という大学特有の事情がうかがえます。
ひとつの指標で「進んでいる/遅れている」と判定することの危うさが、ここに出ています。AI対応度のような指標を見るときは、何を測ったものなのかを必ず確認する必要があります。
発見3:先に動くのは「小さくて、競争がある」組織
3つの調査それぞれで、少数ながら先行している組織がありました。その顔ぶれに共通点があります。
情報通信業は技術に近く、医療系大学は受験生獲得の競争が激しい。どちらも「顧客を取り合っていて、かつ組織が小回りの利く規模」という条件を満たします。自治体で先行していたのも、政令市ではなく小さな町村でした。
逆に、自治体だけは分野や規模による偏りがほとんど出ませんでした。政令指定都市20市も、AIクローラーへの言及・構造化データともにゼロ。住民を他の自治体と取り合う構造がないため、先行者が生まれる動機そのものが薄いと考えられます。
ただし自治体の場合、目的は競争ではなく正確さです。住民がAIに「ごみの出し方」「手当の金額」を尋ねたとき、公式情報が正しく参照されるかどうかは、窓口の負担にも直結します。競争がないからこそ、動機を別に置く必要があります。
個別の調査結果
それぞれの母集団について、業種別の内訳や先行組織の一覧、拒否されているAIクローラーの順位などを詳しく扱っています。
→ 上場企業編を読む
→ 自治体編を読む
→ 大学編を読む
4,105組織を調べて言えること
調査を通じて一貫していたのは、これは「遅れている」という話ではないということです。拒否するか許可するかで悩んだ形跡がある組織は、ほとんどありませんでした。まだ判断すべき論点として、机の上に載っていない段階です。
そして必要な作業は、大がかりなシステム投資ではありません。
注意したいのは、プラグイン任せにしないことです。今回、自治体で見つかった llms.txt は2件とも、大学13件のうち6件が、WordPressプラグインの自動生成でした。ファイルは存在していても、AIに何を伝えたいかを自分たちで決めていなければ、置いた意味は半減します。
サイト整備を支援します
4,105組織を実際に調査した基準で、御社・御校・御庁のサイトがいまAIにどう見えているかを診断します。robots.txt の方針決定から、llms.txt の設計、構造化データの実装まで。「同じ業界の他社はどうなっているのか」を含めてご説明できます。島根県から全国対応です。
まとめ
4,105という数字は、日本の主要な組織のかなりの部分を覆っています。そのうち52。この比率は、来年には変わっているはずです。変わったときに「いつから対応していたか」が問われる場面が来るかどうかは分かりませんが、少なくとも今は、テキストファイルを2つ置くだけで先行できる時期だといえます。
【調査概要】対象:東証プライム市場内国株式1,552社(日本取引所グループ公表資料より種類株を除く全数)、全国市区町村1,741団体(総務省全国地方公共団体コードより公式サイトを特定できた全数)、全国の4年制大学812校(短期大学・専門職大学・大学院大学を除く)/調査日:2026年7月/方法:各組織の公式サイトのトップページ、/llms.txt、/robots.txt を取得し、3調査とも同一の判定基準・同一スクリプトで機械判定。llms.txt はHTMLを返す偽陽性を全件目視で除外。応答が得られなかった組織は未設置として集計。数値は調査時点のものであり、各組織の設定は随時変更されうる。
AI検索対応のご相談・サイト診断はこちら
無料相談する →