AIエージェントが「ブラウザのタブの中」から「開発者のパソコンそのもの」へと活動範囲を広げるにつれ、企業のセキュリティ担当者にとって新しい悩みの種が生まれています。ファイルを読み、シェルコマンドを実行し、開発者の認証情報を使って外部サービスに接続する——Claude Codeのようなツールは便利な分、「今、実際に何をしているのか」を把握しづらいという課題を抱えています。AnthropicがClaude Code向けに公開したコンプライアンスAPIの新しい機能を軸に、企業がローカルで動くAIエージェントをどう管理すべきか、セキュリティ企業Token Securityの視点を交えて整理します。
「ハーネス」はチャットボットではない
Token Securityの解説記事(The Hacker Newsに寄稿)によれば、Claude Codeのようなツールを理解するうえで重要なのは、「ハーネス(実行環境)」と「LLM(AIモデル本体)」を区別することです。LLM自体は状態を保持せず、ハーネスから渡されたセッション情報をもとにその都度応答を返すだけの存在です。実際にコマンドを実行し、外部サービスへの認証を行い、MCPサーバーに接続するのは、LLMではなくハーネス側の役割だと説明されています。
例えるなら、LLMは「脳」、ハーネスは「手足や感覚器官」にあたります。脳(LLM)はAnthropicのクラウド上で動いていますが、手足(ハーネス)は利用者のパソコン——エンドポイント上で動作します。だからこそ、企業が可視性とコントロールを持つべき場所は、クラウド側だけでなく、まさにこの「手足」が動くエンドポイント側にもある、というのがTokenの主張です。
中央集権的な管理画面が存在しない、という設計
従来型のSaaSであれば、企業は中央の管理ダッシュボードから組織全体のポリシーを統制し、エージェントが何をできるかを一目で把握できるのが当たり前でした。しかしClaude Codeのようなローカル実行型のツールには、そうした一元管理の仕組みがそのままでは存在しません。Token Securityが委託したCloud Security Alliance社の調査(IT・セキュリティ担当者418人対象)では、68%が「AIエージェントへの可視性は高い」と回答した一方、同じ調査で82%が「過去1年間にセキュリティ・IT・ガバナンス部門が把握していなかったエージェントを発見した」と答えています。この認識と実態のギャップが、ローカル型AIエージェント管理の難しさを表しています。
記事によれば、Anthropicはコンプライアンス用のAPIエンドポイントを通じて、ローカルセッションの記録(トランスクリプト)を取得できる仕組みを提供しており、これにより企業側がClaude Codeの活動をこれまでより詳しく把握できるようになったとしています。ただし記事は同時に「活動ログだけでは、エージェントのアクセスが正当なものかどうかまでは判断できない」という限界も指摘しています。なお、Anthropicのコンプライアンス関連API自体は公式ドキュメントでも存在が確認できますが、記事内で説明されている個別の機能詳細については、この記事の報道内容として紹介しています。
ログだけでは足りない、という指摘
Token Securityは、エンドポイント検知・対応(EDR)ツールについても言及しています。Claude Codeの実行の多くがローカルで行われるため、EDRはクラウドサービスからは見えないプロセス・ファイル・設定変更を可視化できます。しかし記事は「EDRは証拠を提供するが、ガバナンス(統治)の仕組みそのものではない。エージェントの活動を、その持ち主・意図・認証情報・権限と結びつけることはできない」と指摘し、Anthropic自身のツールだけでは、正当な操作であっても破壊的な行為をLLMが実行することを防ぐには不十分だとしています。
まとめ
把握できていますか
Claude Codeのような開発支援AIツールが従業員のPC上で動く時代、「誰が・どこで・何を」使っているかの見える化は新しい課題です。導入判断からガバナンス体制の設計まで、実務に即したサポートをご提案します。島根県から全国対応です。
DX・AI活用のご相談はこちら
無料相談する →