先日お伝えした、米政府の指令によるClaude Fable 5・Mythos 5の全面停止。あれから1週間以上が経ちましたが、両モデルはいまだに復旧していません。その間に、100人を超えるセキュリティ専門家が撤回を求め、停止の引き金を引いたのが競合企業だったという報道が出て、さらにG7の場で事態が動く——という展開になっています。「使っているAIが、ある日突然止まる」という前回の警鐘が、より生々しい現実になってきました。続報として、今わかっていることを整理します。
現在の状況——まだ止まったまま
2026年6月12日の停止から1週間以上が経過した時点でも、Fable 5とMythos 5は公式な復旧の発表がないまま、オフラインの状態が続いています。Anthropicの国際部門責任者は6月18日、ソウルでの記者会見で「数日のうちに再び利用できるようになると強く確信している」と述べましたが、具体的な復旧日は示されていません。一部報道では、復旧には数週間かかる可能性も指摘されています。
一方で、政治の最高レベルでは前向きな動きも出ています。報道によれば、フランスで開かれたG7サミットでダリオ・アモデイCEOと会談したトランプ大統領が、Anthropicのモデルに対する安全保障上の懸念を和らげたとされています。大統領はAnthropicの迅速な対応を評価しつつ、AIについて「正しく使えば計り知れない恩恵があるが、悪用されれば危険になり得る」と慎重な見方も示したと伝えられています。
舞台裏で何があったのか
この1週間で、停止に至った経緯がより詳しく見えてきました。論点が複数絡んでいるので、整理します。
複数の報道は、今回のジェイルブレイク(安全装置の回避手法)を当局に報告し、6月12日の指令につながったのは競合企業であり、その企業はAmazonだと伝えています。さらに、Mythosにアクセスしていた韓国の通信企業が、中国との関係を疑われたことが直接の引き金になったという報道もあります。技術的な安全性の問題と、企業間・国家間の思惑が入り混じった構図です。
著名なセキュリティ専門家を含む100人以上が、規制の撤回を公に求めました。主張は「これらのモデルのサイバー能力は特別なものではなく、制限してもアプリ攻撃側の進歩は止まらない一方、防御側から有用なツールを奪うだけだ」というもの。リスク評価のプロセスをより透明で構造化されたものにすべきだ、とも訴えています。
今回の件は単発ではなく、以前からの経緯の延長にあります。Anthropicは自社モデルを自律型兵器や大規模な国内監視に使わせない方針を取っており、政府との契約条件をめぐる対立が続いていました。今回の評価をめぐっても、政府側の安全保障上の懸念と、Anthropic側の「軽微な手法で他社モデルでも再現できる」という反論が真っ向から対立しています。どちらの主張が妥当かは、立場によって評価が分かれています。
この1週間が浮き彫りにしたこと
前回の記事で「AIは突然止まり得る」と書きましたが、今回その”突然止まったあと”のリアルが見えてきました。停止は一瞬でも、復旧は1週間以上たっても見通せない。これが現実です。
企業が業務に組み込んでいたAIが、何の予告もなく止まり、いつ戻るかも分からない。金融・医療・SaaSなど、Fable 5を業務基盤にしていた企業は、復旧を待つしかない状態に置かれました。AIを”電気や水道のように当たり前にあるもの”として設計していると、こうした事態に丸ごと巻き込まれます。
今回の件で、多くの企業の契約書やSLAが、こうした規制による即時停止を想定していなかったことも明らかになりました。「不可抗力」の一文では曖昧すぎて、代替手段への切り替えやデータの扱いを実務的に決められない。AIを使う契約には、止まった時の取り決めが要る、という教訓です。
改めて、事業者がやるべきこと
前回も触れましたが、今回の続報を踏まえてポイントを絞ると、要は「一つのAIに業務を預けきらない」ことに尽きます。
幸い、Fable 5は公開直後で、実害を受けた利用者は限定的でした。ですが「AIが規制で突然止まり、1週間以上戻らない」という前例ができた以上、次に同じことが起きた時に困らない備えを、今のうちにしておく価値があります。
業務自動化・システム開発
Claude・Gemini・ChatGPTなど複数のAIを切り替えられる構成で、業務自動化やシステム開発を行っています。「一つのモデルが止まったら業務も止まる」状態を避けたい方、既存のAI業務の依存リスクを点検したい方は、お気軽にご相談ください。島根県から全国対応です。
まとめ
AI業務の依存リスク点検・マルチモデル対応のご相談はお気軽にどうぞ。
AI活用・システム開発のご相談はこちら
無料相談する →