以前、「AI検索の答えは、たった13語の書き込みで操作できてしまう」という研究を紹介しました。そして「だからAIに引用させるための小手先の細工(AEO)は、いずれ通用しなくなる」と書きました。その”答え合わせ”のような動きが、Googleから出ています。Googleはスパムポリシーを改訂し、「AIの回答を操作しようとする行為」もスパムだと明記。さらに2026年6月24日には、全世界・全言語を対象にした「6月のスパムアップデート」の展開を開始しました。AI検索を狙った小細工が、いよいよ取り締まりの対象になってきた——。AIで記事やサイトを運営している人ほど、知っておくべき話です。
何が起きたのか
動きは2つあります。1つは「ポリシーの改訂」、もう1つは「アップデートの実施」です。混同されがちなので、分けて整理します。
まずポリシー面。Googleは2026年5月、検索スパムの定義に補足を加えました。従来の「検索ランキングを操作する行為」に加えて、「Google検索の生成AIの回答(AIによる概要やAIモードなど)を操作しようとする行為」もスパムに該当する、と明記したのです。公式のスパムポリシー文書にも、その一文がはっきり書き込まれています。
そしてアップデート面。Googleは2026年6月24日、全世界・全言語を対象とした「June 2026 spam update」の展開を開始しました。これは今年3月に続く2回目で、スパムを検出する自動システム(SpamBrain)の改善が主な内容とされています。展開完了までは数日かかる見込みです。
なぜこれが重要なのか——「AIに仕込む」が明確にアウトに
これまで、AI検索(AI Overviewなど)に自社を登場させようと、RedditやWikipediaのような”AIがよく引用する場所”に宣伝的な書き込みを仕込む手法が広がっていました。いわゆるAEO(AI最適化)と呼ばれるグレーな商売です。今回のポリシー改訂は、こうした「AIを欺いて回答に滑り込ませる」行為を、Googleが明確に”スパム”の側に置いたことを意味します。
海外メディアの報道では、あるジャーナリストが自分の経歴を偽装し、「自分はその分野の権威だ」とAIに記憶させようとした行為が、AIに対するスパムの例として挙げられています。つまり、AIの認識を人為的に歪めようとする小細工は、もう”賢いテクニック”ではなく”規約違反”だということです。
かつて検索順位を不正に上げるSEOスパムが取り締まられたのと、まったく同じ構図です。AIを欺く手法も、Googleが検出を強めれば効かなくなり、それどころかペナルティの対象になります。実際Googleは「AIシステム向けにコンテンツを書き直す必要はない」「構造化データに過度にこだわる必要はない」とも案内しており、特別な小細工より中身の質を重視する姿勢を見せています。
「AIで記事を書くと危険」なのか?——ここは誤解しないこと
スパムアップデートのたびに必ず出てくるのが、「AIで記事を書いてきたが、うちのサイトは大丈夫か」という不安です。ここははっきりさせておきます。
Googleは一貫して、「AIで作ったという事実そのものは問題にしない。評価するのは作成手段ではなく、品質と有用性だ」と説明しています。つまり、AIで書いたから順位が下がるわけではありません。問題になるのは、検索順位やAIの回答を操作するためだけの、読者の役に立たない薄い大量生成コンテンツです。作り方と使い方が境界線で、道具がAIかどうかは関係ありません。
無視はできない——AI検索の影響は現実に大きい
「じゃあAI検索なんて気にしなくていい」とも言えません。データは、AI検索の影響が着実に大きくなっていることを示しています。AI Overviewが表示されると、クリック率(CTR)が最大34.5%下がったという報告があります。さらにSemrushは、2027年末までにLLM(AI)経由のトラフィックが従来のGoogle検索を上回ると予測しています。
つまり構図はこうです。AI検索の影響は無視できないほど大きい。でも、そこで小手先の操作に走るのはスパム扱いされてリスクが高い。残る道は1つ、「正攻法でAIに信頼される情報源になる」ことです。煽りに乗って小細工を売る商売ではなく、地道に土台を整えるほうが、結局いちばん安全で長続きします。
サイト運営者が今やるべきこと
検索パフォーマンスで、クリック数や順位の下落が6月24日以降のスパムアップデート期間と重なっているかを見ます。5月のコアアップデート期間と紛らわしいので、日付を照らし合わせて切り分けるのが第一歩です。
似たテーマを言い換えただけの記事が溜まっていないか確認します。1ページずつ「これは読者の何の役に立つか」を答えられるかが目安です。答えられないページは、統合か削除、加筆を検討してください。
外部サイトへの宣伝仕込みのようなグレーな手法はやめて、一次情報・実体験・正確なデータ・クリーンな構造といった”基礎”を固めます。これが、検索にもAI検索にも効く、唯一の持続する対策です。
「AIに信頼される自社サイト」を整える
AIを欺く小細工は、もうGoogleにスパム扱いされる時代です。大切なのは、自社サイトそのものを「正しく読み取られる土台」に整えること。llms.txt自動生成・AIボットのrobots.txt自動許可・構造化データ(JSON-LD)出力・AIボットのアクセスログ可視化まで、WordPressにインストールするだけで、AI検索時代の”基礎”が整います。外部サイトへの仕込みのようなグレーな手法ではなく、自社サイトを信頼される情報源に育てる正攻法のGEO対策です。コード編集は不要です。
※llms.txtは、Googleの検索AIには必須ではないとされていますが、ChatGPT・Perplexityなど他のAIへの対応や、構造化・ログ可視化とあわせた”基礎固め”の一環として機能します。小手先の順位操作を狙うものではありません。
まとめ
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