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東証プライム全1552社を調査したら、97%がAIクローラーに「何も書いていなかった」

生成AIが情報の入口になりつつある今、企業サイトはAIに対してどう振る舞っているのか。推測ではなく実数で知りたかったので、東証プライム市場の全1,552社について、公式サイトを1社ずつ巡回して調べました。結果は、想像していたより極端でした。

📄 llms.txt を設置:37社(2.4%)
🤖 robots.txt を設置:883社(56.9%)
⚠️ AIクローラーに言及:48社(3.1%)
🔓 GPTBotについて何も書いていない:robots.txt保有883社中859社(97.3%)

大半の企業は、AIクローラーを拒否しているのでも、許可しているのでもありません。何も決めていない。そしてその結果、自動的に全面許可の状態に置かれています。

調査方法

数字の出所を先に明らかにしておきます。

🎯 母集団
日本取引所グループ公表の上場銘柄一覧(2026年6月30日現在)から「プライム(内国株式)」1,559銘柄を抽出。優先株・社債型種類株7銘柄を除いた1,552社。公式サイトURLは全社について特定済み。
🔍 取得項目
各社3リクエスト。トップページ、/llms.txt、/robots.txt。1社あたり1.5秒以上の間隔を空けて巡回。
✂️ 判定の補正
/llms.txt に200が返っても中身がHTMLのエラーページである場合(ソフト404)があるため、検出42社の中身を全件確認し、5社を除外。
⚠️ 限界
29社は応答が得られず判定不能。未設置として集計しているため、実際の設置率はごくわずかに高い可能性がある。

結果1:llms.txt は37社。4割が情報・通信業に集中

llms.txt は、サイトの内容をAIに正しく理解させるための要約ファイルです。robots.txt が「入るな」を伝えるものだとすれば、llms.txt は「これを読んでほしい」を伝えるものにあたります。

設置していたのは37社。業種別に見ると、偏りが明確に出ました。

業種別 llms.txt 設置率(対象15社以上の業種)
情報・通信業 8.6% (14/163社)
証券・商品先物 5.3% (1/19社)
サービス業 4.2% (6/143社)
医薬品 3.2% (1/31社)
食料品 3.0% (2/67社)
機械 2.7% (3/111社)
輸送用機器 2.6% (1/38社)
不動産業 2.1% (1/48社)
電気機器 1.6% (2/123社)
小売業 1.6% (2/126社)
建設業 1.4% (1/70社)
卸売業 0.8% (1/120社)
設置ゼロの業種:化学(114社)、銀行業(69社)、陸運業(36社)、精密機器(27社)、金属製品(26社)、鉄鋼(20社)、非鉄金属(20社)、繊維製品(17社)ほか

情報・通信業が8.6%(14社)で突出。設置37社のうち約4割がこの業種に集中していました。オプティム、ユーザーローカル、ウイングアーク1st、Sun Asterisk、トレンドマイクロ、GMOグローバルサイン・ホールディングス。いずれも自社でウェブとAIを扱う企業です。

裏を返せば、現時点の llms.txt はIT業界が自分たちの流儀を自分たちで実践している段階にとどまっている、と読めます。

業種で「唯一の1社」

興味深いのは、IT以外から少数だけ混ざっている企業です。

💊 医薬品(31社中1社):武田薬品工業
🚗 輸送用機器(38社中1社):SUBARU
📈 証券・商品先物(19社中1社):松井証券
📄 パルプ・紙(10社中1社):大王製紙
🏗️ 建設業(70社中1社):朝日工業社
📦 卸売業(120社中1社):ユアサ商事
🏢 不動産業(48社中1社):日神グループホールディングス
🪑 その他製品(37社中1社):オカムラ
🍫 食料品(67社中2社):森永製菓、伊藤園
🛒 小売業(126社中2社):セブン&アイ・ホールディングス、オイシックス・ラ・大地
🔌 電気機器(123社中2社):ルネサスエレクトロニクス、エンプラス
⚙️ 機械(111社中3社):島精機製作所、荏原実業、旭ダイヤモンド工業

そして銀行業69社、化学114社、陸運業36社、精密機器27社、金属製品26社、鉄鋼20社、非鉄金属20社、保険業11社は、いずれも設置ゼロ。

結果2:97%が「何も書いていない」

ここからが本題です。

robots.txt は、クローラーに「どこを見てよいか」を伝えるファイルです。重要なのは、書かれていない相手は制限されていないことになるという点。禁止と明示されない限り、クローラーは自由に巡回してよい。これがウェブの既定のルールです。

つまりAIクローラーについて何も書いていないことは、拒否していないということであり、実質的に無条件の全面許可を意味します。

主なAIクローラーの扱い
robots.txt を保有していた883社が母数
Bytespider (ByteDance)
全面拒否 19社/一部拒否 7社
CCBot (Common Crawl)
全面拒否 15社/一部拒否 11社
GPTBot (OpenAI・学習用)
全面拒否 14社/一部拒否 4社/明示許可 6社
ClaudeBot (Anthropic)
全面拒否 12社/一部拒否 4社/明示許可 3社
Google-Extended (Google・生成AI学習)
全面拒否 12社/一部拒否 4社
Amazonbot
全面拒否 12社/一部拒否 4社
ChatGPT-User (閲覧時アクセス)
全面拒否 2社/一部拒否 5社
PerplexityBot
全面拒否 1社/一部拒否 4社
OAI-SearchBot (OpenAI・検索用)
全面拒否 0社/一部拒否 4社
本質
拒否の順位は、検討の深さではなく「知名度」を映している

最も多く拒否されていたのはByteDanceのBytespider(19社)で、OpenAIのGPTBot(14社)を上回りました。一方でPerplexityBotを全面拒否していたのは1社のみ。各社が用途を精査した結果というより、「名前を知っているボットしか書けない」という事情を反映していると考えるほうが自然でしょう。robots.txt は、その企業がAIクローラーの現状をどこまで把握しているかの鏡になっています。

結果3:構造化データも15.8%

ついでに、トップページのJSON-LD構造化データも取得しました。Organization または Corporation 型を出力していたのは245社(15.8%)

構造化データは、AIに限らず検索エンジンが企業情報を機械的に読み取るための基本的な仕組みです。会社名、所在地、ロゴ、連絡先を曖昧さなく伝えられる。ここが空白だと、AIは本文テキストから推測するしかなくなります。

では、何をすればいいのか

数字を並べただけでは動けないので、具体的な手順を書きます。いずれも大がかりな改修は不要で、テキストファイルを2つ置くだけの作業です。

1. まず方針を決める

技術の前に判断があります。自社のコンテンツを、AIの学習に使わせるか。AI検索の回答に引用させるか。この2つは別の話で、分けて考える必要があります。

学習には使われたくないが、AI検索では正しく紹介されたい、というのは十分あり得る立場です。実際、ボットは用途ごとに分かれています。

📚 学習用:GPTBot、ClaudeBot、Google-Extended、CCBot
🔎 検索・回答時の参照用:OAI-SearchBot、ChatGPT-User、PerplexityBot

後者まで一律に拒否すると、AI検索の回答から自社が消えます。今回の調査で、GPTBotを拒否しつつOAI-SearchBotには言及していない企業が複数ありましたが、意図的な使い分けなのか、単に区別を知らなかったのかは判別できません。

2. robots.txt に明示する

学習は拒否し、検索での参照は許可する場合の記述例です。

# 学習目的のクロールを拒否 User-agent: GPTBot Disallow: / User-agent: ClaudeBot Disallow: / User-agent: Google-Extended Disallow: / User-agent: CCBot Disallow: / # AI検索での参照は許可 User-agent: OAI-SearchBot Allow: / User-agent: PerplexityBot Allow: /

逆に、AIに積極的に読ませたい場合は、拒否を書かないという判断も当然あります。重要なのは決めた上でそうしていることで、今回見えたのは、その決定自体が行われていないという実態でした。

3. llms.txt を置く

llms.txt はサイト直下に置くマークダウン形式のテキストで、AIに読んでほしい情報の地図にあたります。基本形はこうなります。

# 株式会社◯◯ > 1950年創業。産業用ポンプの設計・製造を行う専業メーカー。 > 主力は化学プラント向け耐腐食ポンプで、国内シェア◯%。 ## 会社情報 – [会社概要](https://example.co.jp/company/): 沿革、拠点、役員 – [事業内容](https://example.co.jp/business/): 製品分野と技術的特徴 ## 製品 – [製品一覧](https://example.co.jp/products/): 型番、仕様、用途 ## IR – [決算資料](https://example.co.jp/ir/): 最新の決算短信と説明資料

肝心なのは冒頭の要約部分です。自社を一文でどう説明するかを自分で決めて書く。ここを書かなければ、AIは断片的な記述から推測して説明を組み立てることになります。

Eatransform
AI検索に「正しく載る」ための
サイト設計・LLMO対策

robots.txt の方針決定から、llms.txt の設計、構造化データの実装まで。「うちのサイトは今どうなっているのか」の診断だけでもお受けしています。同業他社の対応状況を踏まえたうえで、何から着手すべきかをご提案します。島根県から全国対応です。

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まとめ

東証プライム1,552社を全数調査。llms.txt 設置は37社(2.4%)
robots.txt でAIクローラーに言及したのは48社(3.1%)、97%は記載なし=実質全面許可
✅ 設置企業は情報・通信業に4割が集中。銀行69社・化学114社はゼロ
✅ 最も拒否されたAIはByteDanceのBytespider。GPTBotより多い
✅ 対策は「学習用」と「検索参照用」のボットを分けて方針を決めることから

これを「遅れている」と評するのは簡単ですが、実態はもう少し単純だと思います。判断すべき論点として、まだ机の上に載っていない。逆に言えば、いま手を打てば業種内で最初の1社になれる可能性が高い。医薬品31社で武田薬品工業が、輸送用機器38社でSUBARUが、既にそうしているように。

【調査概要】対象:東京証券取引所プライム市場 内国株式1,552社(日本取引所グループ公表の上場銘柄一覧2026年6月30日現在より、優先株・種類株7銘柄を除く全数)/調査日:2026年7月21日/方法:各社公式サイトのトップページ、/llms.txt、/robots.txt を取得し機械判定。llms.txt はHTMLを返す偽陽性5社を目視で除外。29社は応答が得られず判定不能のため未設置として集計。設置率は母集団1,552社を分母とする。本調査の数値は調査日時点のものであり、各社の設定は随時変更されうる。

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