先日お伝えした「AIがわずか10時間でWordPressの重大脆弱性を発見した」話には、いわば”逆側”の展開もありました。約2万サイトで導入されている人気プラグインに、悪意あるコードが混入するという事件が発生。ただし今回は、その侵入を発見したのもまたAIでした。しかも、コードが混入されてからわずか2時間以内という速さです。攻撃にも防御にも、AIが実務レベルで組み込まれ始めている——その両面が同時に見える1週間でした。
何が起きたのか
問題が見つかったのは、約2万件のアクティブインストールを持つWordPressプラグインのバージョン10.8.7です。CVE-2026-18072として登録され、CVSSスコアは9.8。バックドアは「fn-update-check.php」という一見無害そうなファイル名に隠され、プラグイン本体の初期化処理の中で読み込まれる仕組みになっていました。特に危険なのは、このバックドアの起動関数が、WordPressの通常の認証チェックよりも前の段階で実行される点です。「_wplogin」または「_wpm」というリクエストパラメータを通じて、URL・フォーム送信・クッキーのいずれの経路からでも、攻撃者が指定した値を受け渡せる仕組みになっていました。攻撃が成立すれば、対象サイトは数秒で完全に乗っ取られる可能性があったとされています。
この不正なコードを発見したのが、セキュリティ企業Wordfenceの自律型AI脆弱性検知エージェント「Wordfence PRISM」です。悪意あるコードが混入されてから、検知までにかかった時間はわずか2時間足らず。Wordfenceは直ちにWordPress.orgのプラグインチームに通報し、該当リポジトリは7月28日中にダウンロード停止措置が取られました。幸いにも、この悪意あるバージョンはまだ自動更新を通じて広範囲に配布される前の段階で食い止められたとのことです。
通常のバグではなく、意図的な配信経路の乗っ取り
セキュリティ研究者の分析によれば、今回の件は通常のプログラミングミスによる脆弱性ではなく、プラグインの配信サプライチェーンが意図的に侵害された可能性が高いとされています。先日お伝えしたShapedPluginの事件と同様、「正規のアップデート経路そのものが汚染される」というパターンです。バックドアは、外部のC2(指令)サーバーである「fontswp.com」との通信を行うよう設計されており、この通信の遮断も対策として推奨されています。
先日お伝えしたwp2shellの件では、AIが脆弱性発見のコストを劇的に下げたことで、攻撃側の敷居が下がった側面が強調されました。しかし今回の事件は、その裏返しを示しています。人間が四六時中コードの差分を監視することは現実的ではありませんが、自律型AIエージェントであれば、リリースされたコードを継続的に、しかも即座に検査し続けられます。実際、今回は悪意あるコードが混入してからわずか2時間で発見されました。この速さは、人手だけの監視体制では到底実現できないものです。攻撃と防御、双方が同じ技術を使う以上、「どちらが先にそれを実務に組み込むか」が、これからのセキュリティの分水嶺になっていきそうです。
該当プラグインを使っている場合の対応
WordPressサイトの継続監視
プラグインの正規アップデート経路が汚染されるケースが相次いでいます。導入中プラグインのバージョン点検、不審な通信先の確認、継続的な監視体制の構築まで対応します。「うちのサイト、こうした供給網型の攻撃にも耐えられるか確認したい」という方は、お気軽にご相談ください。島根県から全国対応です。
まとめ
WordPressサイトの継続的な監視・セキュリティ体制のご相談はお気軽にどうぞ。
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