「この場所どう?」

頭の中ではよく使う言葉です。引っ越しを考えるとき、知らない街を訪れるとき、自然とそう思います。でも最近、この言葉が検索ではほとんど使われていないことに気づきました。

それに気づいたのは、自分でbasho-ai.comというサービスを作り、実際にリリースしてからのことでした。

作っている最中は「これ、便利だ」と思っていた

正直に言うと、開発している間は「これ普通に便利じゃない?」と思っていました。引っ越しを考えるときや、知らない街を見るとき、結局知りたいのはこういうことだから。住みやすさ、治安、利便性——それらを一箇所で確認できるサービスがあれば、きっと役に立つはずだと。

しかし、リリースしてからが現実でした。

アクセス、ほぼゼロ。
検索からも来ない。
SNSでバズるわけでもない。

誰も「この場所どう?」とは検索していなかった

「あれ?」と思い、サーチコンソールやキーワード調査ツールを確認しました。そこでようやく気づいたのです。誰も「この場所どう?」とは検索していない、ということに。

実際に検索されているのは、こういった言葉でした。

  • ○○駅 住みやすさ
  • ○○市 治安
  • ○○区 家賃
  • ○○町 評判

もっと具体的で、目的がはっきりした言葉ばかりです。

つまり、「この場所どう?」というのは、口では言うけれど、検索窓には入れない言葉だったのです。

便利かどうかと、検索されるかどうかは別物だった

これ、作る前は正直わかっていませんでした。頭では理解していたつもりでも、実際にアクセスがゼロに近い数字を見ると、その意味がようやく腑に落ちます。

便利かどうかと、検索されるかどうかは、まったく別の話でした。

じゃあこのサービスは失敗かというと、そこもまた少し違う気がしています。

使ってみると普通に便利ですし、「こういうものが作れるんだな」というのは一瞬で伝わります。だからこれは、一般ユーザー向けのサービスというより、作った人間の名刺のようなものだったのかもしれません。

検索で人が来ないから価値がない、というより、そもそも立っている場所が違ったのです。

失敗そのものが、記事のネタになる

ここからが本題です。

「この場所どう?」は検索されません。でも、この失敗そのものは記事のネタになります。

なぜ検索されないのか。なぜ便利そうなのに人が来ないのか。実際に作って、公開して、数字を見た人間にしか書けない話があります。

SEOの教科書をなぞった話より、こういった「やってみてダメだった話」のほうが、よっぽどリアルだと思っています。

しんどいけれど、残ったものがある

正直なところ、お金にもなっていませんし、アクセスもありません。気持ち的にはしんどいものがあります。

でも、

  • サービスを作った
  • 公開した
  • 数字を見て、ズレに気づいた

ここまでやっている人は、意外と少ないのではないでしょうか。

次もし同じようなことをやるなら、最初から「検索される言葉」から逆算すると思います。もしくは「これは検索されない前提で、語るための材料にする」と割り切るかもしれません。

おそらく、この経験がなかったら、ずっと「便利なのになんで伸びないんだろう」という疑問で止まっていたはずです。

そう考えると、「この場所どう?」は、サービスとしては静かに沈みましたが、自分の中には、ちゃんと一つ残ったものがある気がしています。

それは、便利さと需要は別物だという、身をもって学んだ教訓です。